財閥銀行 帝都野望篇 プレイレポートと資料
本作は関東の大手私鉄をテーマにした経営シミュレーションである。作中で関東私鉄7社+営団地下鉄を創業し、経営期間は明治初頭から21世紀の冒頭に及ぶ。タイトルの通り、傘下には銀行業も加わるが、融資はグループ企業に限定される。
わたしは金に汚い人間だ。せめてゲームの中では浴びるように金がほしい。しかし、実機(98FA)でプレイした当時のわたしには歯が立たず、満身創痍の体で21世紀を迎えたのだった。
それから20年、本作のことは片時も忘れたことがない。
先日、かねてから進めてきた蔵書の自炊作業が終了した。それを記念して、今回は本作に対する積年の恨みを晴らしてみたい。
今度こそわたしは巨万の富を築き、世界中のキャバクラを股にかけるのである。
攻略の傾向と対策
不動産業
戦後の地価高騰を待たないと、不動産業はまともな利益を計上しない。最初の80年間は、資本金を原資に土地を購入せねばならないが、物価上昇に伴い、そのままでは昭和初期近辺で資本金が尽き、業務が凍結してしまう。そこで作中では、1920年代の東横線開業時に、田園調布の宅地開発イベントが用意されている。戦前の不動産業がまとまった資金を獲得できる唯一の機会である。問題は投資額の10百万円。完成までの間、毎年の金利支出がおよそ1000千円生じてしまう。対して、当時の不動産業が捻出できる額は1年につき約60千円と桁が違う。
当時、バブル崩壊期の真っ直中にあったわたしの緊縮脳はそこで苦悩した。莫大な投資額に加え、その利息分を開発完了までの間、更につなぎで借り入れねばならない。それはわかっている。しかし、そんなおぞましいことを試みるくらいなら不動産業は破棄した方がましだと我が緊縮脳は結論したのだった。
今回は自らを鞭撻し、これを実行してみる。
銀行業
銀行の行き詰まりはやや込み入っている。銀行業では戦前と戦後でそれぞれ危機が訪れる。まず、1890年代以降に預金の膨張が始まり、資金需要が追い付かなくなる。これは支店数を制御すれば解決できる問題で、当時のわたしでも容易にクリアすることができた。ところが、それからおよそ100年後、銀行業にふたたび危機が訪れる。80年代以降の低金利時代入るや銀行の収益性が悪化。資金繰りのためにやむなく、支店を増やし続ける自転車操業に走ってしまった。それも90年代半ばには行き詰まり、資金潤沢な流通業からの輸血によるターミナルケアによって、かろうじて最後の5年間を生き延びた始末であった。戦前の危機とは違い、支店数を抑えても結果は同じである。そもそもそれでは、戦後の莫大な資金需要に応えられない。ではどうするか。プレイレポート
1870年代
1880年代
1890年代
1900年代
1910年代
1920年代
1930年代
1940年代
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
結び
宿命論的なイベントの再現性にこだわった本作は、その代償として、プレイヤーの行動が環境を変えていくような拡張性に乏しい。正確に繰り返されるイベントの中で試行錯誤しながら、徐々に最適解に近づいていく楽しさは、シミュレーションというよりもAVGのそれに近いのかもしれない。
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