◇2003/02/01
わたしは微笑していた。Oはいった。
「キミぃ、この職場だから無事で済んでいるものの、他の場所だったらすぐに収監だヨ」
◇2003/02/02
Oはいう。
「腹一杯になれば、それで満足だったんだ」
◇2003/02/03
Oはいう。
このせかいはいつからボクのモノではなくなったのかナ
◇2003/02/04
Oはいう。
最近は、喰いたいと思っても、体が量を受け付けなくてネ
◇2003/02/05
多忙、更新できず。
◇2003/01/06
「Oさん格好いい」
「当たり前だヨ!」
OとHの会話より。
◇2003/02/07
「はう ふぁーすと らいふ ごうず おん」
(O、今日の英会話)
◇2003/02/08
郵便箱に投函されていた寿司屋のチラシを見たOはいう。「ハマチが喰いたいネ」
◇2003/02/09
Oはいう。
「ボクは何をやっても様になるネ」
◇2003/02/10
Oはいった。
「この街で出会って恋をする〜♪ いいネ。この街で出会うんだヨ」
◇2003/02/11
Oは社会面を見ていった。
「厭だネ、厭だネ。ご飯食べながら涙が出てきたヨ」
◇2003/02/12
近所の薬局にアタラックス-Pを求めた。薬剤師は不穏な顔つきをした
◇2003/02/13
「総員退艦になった後も、皆、意気地がないから暫く船上でウロウロするものだヨ。やがて、南無三と飛び込んで浮流物に掴まれたときは、『楽勝ぢゃん』と思ったものだヨ。でも、ぼ〜っとしていたら、どんどん角材が降ってきてネ」
Oは戦友の半分を其処で亡くした。
◇2003/02/14
多忙。眠りたい。
◇2003/02/15
松屋の店員がみそ汁を出し忘れた。
◇2003/02/16
自転車のチェーンは前々から錠の調子が悪かった。今日も施錠がなかなか解けず、力任せに鍵を回したら折れた。
◇2003/02/17
Oの故郷新津市は人口67,425人 (平成12年3月31日現在) の地方弱小都市である。石油と鉄道で栄えた街は、いま亡びようとしている。
◇2003/02/18
Oは歌う。ボクを嫌いなニンゲンなんて、この世にいるのかネ〜♪ わたしはふたり知っている。
◇2003/02/19
同僚の机に転がっていたクッキーを三つほど奪って自分の机に転がして外へ出た。気味の悪いくらい大きな月に震えながら帰ってくると、それがふたつに減っていた。誰が喰ったのだろうか。
◇2003/02/20
Oはいう。
時々思うヨ。野外生活者になっても十分に生きて逝けるんじゃないかって
◇2003/02/21
以下、虚構である。
往々にして、わたしどもは上司の頭部を鈍器で打擲したいと願うものであるが、諸々の制約から、それは何時までも叶わぬ行為でもある。しかしながら、満たされぬ欲求に心身の平衡を危めて心療内科の世話になるのも、其処に予想され得る時間的・金銭的コストがわたしどもの貧乏性を無闇に刺戟して、これまた辛い。
仕方も無く、木製バットを机に立てかけて見る。
この世はいつも救済のないもので、そのバットを見ても当の彼はわたしどもの敵意が己に向けられていることを露とも感知しない。感性が鈍なるは、当人にとってはたいへんな幸福に違いない。
でも、かれは知らない振りをしているだけかも知れない。だが、本当の所はあまり探求したくはない。にんげん、解り合いたくないこともある。
◇2003/02/22
「村上上等兵は互いにマラリアに罹病した仲だったんだヨ。印度国境からずっと小便を垂れ流しあって歩き通しだったネ。随分励まされたヨ。落伍者は自決せよと、中隊から命令が出ていたからネ。でもネ、カボウ谷地にさしかかったとき、雨がずっと止まなくなってネ。村上は泥沼にめり込んで動かなくなったんだヨ。顔を引き出してやると、高熱の為か、微かに笑っているんだよネ。……許して呉れよ、村上ヨ。俺もあのとき、何も考えられなくなっていたんだヨ。ただ、見てることしかできなかったんだヨ。頼む、後生だから許して呉れ。もう、現れないで呉れヨ。ふええ〜〜ん(以下嗚咽、聞き取り不能)」
(酔ったO語る)
◇2003/02/23
Oの実家は八百屋だった。
◇2003/02/24
会社の近所のアメショーは巨体で、近づくと逃げるが動きは緩慢な為に容易くさわることができる。さわると威嚇の声を出す。
◇2003/02/25
Oはいった。
「一寸、海の男になってくるヨ」
◇2003/02/26
新津医療センター4Fの病室でOはいった。
「キミは…、幻ぢゃないのだよね? ここに居るんだよネ?」
◇2003/02/27
「Iさんに告白された新津南高校の昇降口も、Kさんが何時も座っていた新津市立図書館のカウンターも、江戸っ子商店のウグイスあんも、アベキューのメロンパンも、大将ラーメンのみそスタミナラーメンも、みな、幻影だった」
◇2003/02/28
新聞紙だけでもなく段ボールも暖かいそうだ。