四月 日々のできごと


過去のできごと
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2002/4/30

「ひろゆき」や「たかゆき」のような、ギャルゲーの主人公たちの名前を持つ同僚たちは、不条理なからかいの対象になります。「ひろゆきのくせに」とか「たかゆきのくせに」とか――。

わたしは、自分の下の名前が未だギャルゲーに使われたことがないのに、大きな安堵を覚えるのですが、本心を申し上げれば、同僚の「ひろゆき」や「たかゆき」にたいへんな嫉妬も覚えるのです。ちくしょうめ、うらやましいぞ。


2002/4/29

資料として職場においてあったグローブを上司の沖縄人C氏(三十路)が見つけるや、氏は格闘家となりました。自身を肥大化させた氏の拳が、勢いよく空を切るのですが、勢い余りすぎて、同僚の新潟人Oさんの机に積まれていた書類と漫画の山を崩してしまうのでした。


2002/4/28

外の回りから帰ろうと、車で東進すれば、気味の悪いくらい丸い月が昇っていました。帰宅途中に近所の公園を通れば、猫が四匹ほど、無作為に散らばって座り込んでいました。日曜は、平和に終わろうとしていました。


2002/4/27

ここ近日、肌寒さが感じられ、厚着で会社に向かいます。分厚い衣類は安心感が感じられ、その素晴らしさに軽い恍惚を覚えます。うきうきします。

今日は、何も動きがありませんでした。業務が停滞してきました。心の寒さまでは、どうにもならなかったのでした。


2002/4/26

上司の沖縄人C氏が、空腹のあまり同僚の京都人T所有のするめを取り上げ、咀嚼を始めました。辺り一面に、イカ臭いにおいが広がりました。


2002/4/25

同僚の徳島人Yが、「明日から兄貴(おたく)が実家に帰ってしまう」と嘆いておりました。世間では、明日から連休とは――。地位もお金もいりません。休みがほしいです。

でもでも、地位もお金もほしいな〜。

ちょっとだけそう思う気持も否定できない欲深いわたしなのでした。


2002/4/24

外の周りの途中で、秋葉原に吸い寄せられるように下車いたしました。改装を終えたアキバハラデパートを覗いてみれば、なぜか天国になっておりました。興奮して、五千円ばかり散財する憂き目となりました。

帰りに乗ったバスは運転が大変荒く、停車のごとに身体が慣性で振り回されるのでした。


2002/4/23

気温差が激しく、やや気怠い感じが致します。しかし、夜になると漆黒の闇が心興奮させて、「萌え萌え〜、萌え〜」と会社で同僚の徳島人Yと醜く叫びます。


2002/4/22

将来の憂いが無くなり、もう労働しなくてもよい事になったら何をしたいか。よく考えることです。とりあえず、プラモを作りたい。ゲームをしたい。一日中、シムシティかA列車をやっていたい。大戦略で、撃破された戦車の数とそこに乗っていた戦車兵の数をノートに書きとめ、「今日は20人死んじまった」と大隊幕僚の様に呟いていみたい。そんな厭らしい遊び方をしてみたい。

果たして、そんな夏休みが残りの人生においてやって来るのでしょうか。


2002/4/21

映画館へ行きました。雨に日のレイトショーは人も疎らで、ゆったりとスクリーンの向こう側の大虐殺を見物。半年ぶりの映画館だったので、とても朗らかな気分になりました。


2002/4/20

最近、仕事の都合で夕暮れの三鷹の街に出向くことが多いわたしですが、そこは余りよい思い出のない場所であります。某トラウアニメを作った某社をすぎれば、今度は某作品でいっしょに仕事をしてともに酷い目にあった某社が見えて参ります。

しかし、思い返してみると、そもそもよい思い出のある場所などこの地球上にあるのかどうか、それすら疑問に思えてきて、なんとも不安に駆られておたおたしていると、信号が変わったのに妄想に憑かれそれに気づかないわたしに、後ろの車がクラクションを鳴らしてきて、ますますおたおたしてしまったのでした。


2002/4/19

今日は、下校中の女子高生おねいさんの大群に取り囲まれ、たいへん快い夕方でした。でも、おねいさんに目がいけばいくほど、人生が矮小化していくような気がするのは、なぜなのでしょうか。


2002/4/18

今日は、夕闇の荻窪を歩くエプロンのかわいいおねいさんがたいへん宜しく、気がづけば世界はきれいなおねいさんであふれ返っているに違いなかったのです。


2002/4/17

データ入力に勤しむわたしの隣で、同僚の徳島人Yが興奮して変な踊りをおどりだしました。目障りを感じたわたしは、ボールペンを彼に向かって投げつけました。ボールペンは彼の腹に当たり、あらぬ方向へ飛んでいってしまいました。


2002/4/16

電車の中で口をだらしなく半開きにしたおねいさんはたいへん宜しく、同じく電車の中で倒れかかってきた高校生のおねいさんはたいへん宜しく、夜の三鷹で買い物袋をぶんぶん振り回すおねいさんがたいへん宜しかった一日でした。


2002/4/15

暖かい南風とともに、世界は薄着のおねいさんで一杯になりました。


2002/4/14

わたしはもうへとへとになってしまった朝なのですが、上司の沖縄人Cさんはとても元気に覚醒していて、「ああ、野蛮人」などと感想が漏れるのでした。


2002/4/13

嫌なことから逃げるのは、人生の醍醐味です。逃亡の果てに、人生の真実があると信じるのです。問題は、その真実がとても残酷だったということなのです。

だから、昨日の事件がほとぼりが冷めるまで、今やわたしを笑いものにしているらしい別部署へは絶対に行かないのです。誰が行くもんですか。もう嫌々です。

などと書いている向こう側で、なにやら上司の埼玉人Kさんが、セクハラをしている模様です。いけないですねえ。


2002/4/12

一仕事を終えた愚かなるわたしは、「ほほっ」とここなどを見て喜んでおりました。その様子を背後から見た同僚の愚かなる徳島人YがそこのURLを所望してきたので、社内LAN用のメッセージ送信ソフトを使い、かれのマシンへ送りました…そのつもりでした。

しかし、操作の誤りから、ネットにつながっている全マシンおよそ50台に、わたしの名前でそのURLが発送されました。

こうして、全てが終わってしまったのでした。


2002/4/11

昼に何か放言をして、夜、就寝時にそれを思い出し、後悔のあまり死んでしまいます。だから、寝る前に一日を振り返ることなど絶対に行ってはいけない事だと肝に銘じ、「もう何も覚えていないのですよ。ええ、もう、覚えてないったら覚えてないのですよ」と心の中で強弁するのにするのに、どうして、いつも今日の思い出で頭の中がいっぱいになってしまうのでしょうか。


2002/4/10

あまり気持ちのよくない朝に、公園でどす黒い空を仰ぐ老人を見かけました。その周りでいつもの猫が二匹、座り込んでおりました。

五分後、ゴミを捨てに出たわたしが、その公園の傍らを再びすぎると、老人は姿を消していました。その代わり、猫がすごい勢いで、じゃれついておりました。

たいへんぷんぷんした心持ちになりました。


2002/4/9

特に何もない日だったのですが、肋骨にひびが入っていると目された上司の沖縄人Cさんが

「病院で五時間も待たされちゃったよ。で、結局どこもおかしくなかったよ。はっはっはっ」

と、おのれの不幸をとても嬉しそうに語っていたのが印象的でした。


2002/4/8

続・今日の腹一杯日記

半日たった今でも腹一杯です。困りました。


2002/4/7

今日の腹一杯日記

白菜のクリーム煮で大破。苦しくしばし休憩しようと夕方六時頃布団にもぐり込み、失神しました。

気づけば、爽快さからほど遠い曇天模様の朝に、カラスの鳴き声が響いているのでした。


2002/4/6

同僚の新潟人O氏が陰鬱な九州人であるわたしに

「馬刺はうまいのか」

と尋ねてきました。それは死ぬほどうまいものでもないと思うのですが、かといってまずいものでも御座いません。上司の沖縄人Cさんのように蝉を喰うよりは、ずっと増しなものですよ。

わたしは、とても真実とは間違ったようなことを云っているような気が致したのですが、とりあえず、大量の沖縄人Cさんがひしめく南海の孤島を心に浮かべながら、新潟人O氏にそう申し上げました。

新潟人O氏は、暫く帰っていないと云う遥かなる故郷に思いを寄せたようで

「冬の日本海はいいよう。君なんか吸い込まれてしまうよ」

としみじみ語るのでした。


2002/4/5

どうやら“お眠”な時期に入ったようで、わたしは会社で昏々と失神を続けます。

風の止んだ昼下がりは、暖かいのか寒いのか曖昧で気持ちの悪い感じがします。

夜半近くになり、ようやく覚醒したじぶんを省みて、なにやら昨日よりもずいぶん縮んだ心持ちがいたしました。


2002/4/4

風の強い日に女子高生のおねいさんが恥辱の顔で俯いてスカ〜トを押さえるのは、心ときめく情景と思います。でも、わたしは外に出ず、一日中会社で潰れ込んでおりました。

ただ、わたしがスカ〜トのおねいさんを見ようと見まいと、世界はスカ〜トのおねいさんの優しい愛に包まれているわけで…、そんなことを会社で放言しているわたしを見て、上司の埼玉人Kさんは、「君が云うとたいへん嘘臭い」と申しました。

明日の風はどちらに吹くのでしょうか。


2002/4/3

今日の腹一杯日記

熟睡中になぜか肋骨を折ったらしい上司の沖縄人Cさんが、「寿司をくいてえ」と叫き大変うるさかったのですが、おごってくれるというので、喜んだわたしはほいほいついて行き、氏の財布を破壊してやろうとたんまり食ってやったのですが、満腹のあまり私のおなかが破壊されてしまったのでした


2002/4/2

路肩に車を止め、暫し失神する。目が覚めると、エンジンルームの上で、二匹の猫がいちゃいちゃしている。その奇妙な光景が夢であることに気づくのに、そう時間はかからなかった。


2002/4/1

雨上がりの夜明けをとぼとぼ帰宅の途につくわたしは考えていました。年度始めの心動揺するこの日に、嘘が奨励されるのは危険なのではないかと。

角を曲がると猫が二匹いちゃついていました。

その後、出社したわたしは、同僚の新潟人Oさんが、「駅前に怪獣が出たぞ〜」と乱れ咆哮するのを聞きました。もしそれが本当だったら、とても素敵なことのように思われたのですが、わたしの住処まで壊されるのは耐え難いことである、とも思いつつ、意識は次第に薄れてゆき、わたしは職場の机に頭を打ち付け、高いびきをかくのでした。